2014年4月12日土曜日

孔明シンプソンズ

シンプソンズ孔明


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オープニング。天気のいいお昼時。
スタッフクレジット入る。

消防車のサイレン。右からすごいパースで左に曲がっていく。
杉?か何かの森が大火事。ガヤいっぱい。
「たいへんだ、このままじゃ町まで燃え広がるぞ」
「燃えたってかまやしない。うちに貴重品なんてないからな」
「うちも」
「うちもよ」

「消防です!みなさんさがって!」
アメリカでダントツにかっこいい職業ファイヤーファイターだ!
次々おりてくる消防士のあとから全裸のホーマーとバート。

「いくぞバート寝転がれ!」
親子二人で火のそばで大の字。
「夏が来る前に日焼けしてれば、ビーチでもてることは間違いないぞ」
「あちち、片側だけまっくろだ」
「向きをかえるんだ」

ごろごろしながら火にちかづく二人。

消防署員「そこの親子!なにやってる」
ホーマー「わからんのか、夏に向けての準備だ」

消防署の所長「あれ?あんたが面白がって森に火をつけたんじゃなかったのか」
ホーマー「ペンタゴンとかFBI本部になら面白がって火をつけてもいいが
こんな森を火事にしてどうする」

署長「オレは毎日自分のSNSを炎上させてる」
他の署員「オレもです」

リサとマージやってくる。

マージ「バカな人、日焼けなら庭ですればいいじゃない」
リサ「そのバカな人と結婚したのはだれ」
マージ「後悔はしないわ。でもあの頃に戻れたら結婚式のビデオとったあと
別れたかも」

                 ※

すると一面にわかに掻き曇り、雷一発。
土砂降りになって森の火は鎮火した。

「もう火が消えたのか?」
「つまらん、おい帰るぞ。NFL録画しといてよかった」
帰るガヤ達。

森の奥から静々と、羽扇をひらひらさせて孔明が現れる。


半分焼けてずぶぬれのホーマーとバート。
親父「なっ、裸で正解だっただろ?」

孔明「みなさんお静かに、今テロリストと思われる複数の人間がこの森に
逃げ込んだのでやむなく罠をかけましたが、私は今日この時間きっちりに
大雨が降ることを予想していました」

バート「ねえパパ、なんであいつバケツかぶってんの?」
親父「傘がなかったんだろ」

リサ目が輝く。

リサ「なんでそんなに正確にきっちり天気を予想できるんですか?」
孔明「フフフ、自然と一体になるのです。答えは空や空気が教えてくれます」

リサの頭の中で、もう孔明とバージンロード歩いてる。
ハネムーンはなぜかモナコ。


リサ「お時間があったらもっとお話を聞きたいわ」
家に招くリサ。
マージのもってきたタオルをうけとり、肩にかけて下半身はモザイクでっぱなしの
ホーマーとバートついていく。


                 ※

お茶を飲む孔明とリサとマージ。
親父と息子はものすご体に悪そうな炭酸飲料とハンバーガー。
ためしに飼い犬にやると一発で死ぬ。

孔明「私はこの国に平和と秩序をもたらしに参りました。先帝からそういうご指示を
いただいております」
リサ「すてき。わたし子供は5人ほしいわ」
マージ「リサったら気が早いわ」

バート「親父あれどう思う」
ホーマー「うさんくさいな、オレはだまされんぞ」

突然テーブルの上に立ち上がるホーマー。
「よく聞け!ここはアメリカだ!平和と秩序なんて誰も求めていない!
憲法にもそんなこと書いてない!」

孔明「するとあなた方は、この無計画で常に世界に火種をまいて、自分だけが正しいと
いいはる野蛮な国家をよしとしていると?」

ホーマー「難しい話をして俺をけむにまこうったってそうはいかんぞ!」
リモコンでテレビをつける。

ベトコンみたいなランボーみたいなのが、明らかに侵略戦争してる映像。
テロップ「ストレスは体によくない」

ホーマー「わかったか、平和と秩序が俺たちの望みじゃない。ただ自由でいたいだけだ」
リサ「まって、パパは極端に保守的なこの国の代表であって、みんながそうじゃないのよ」

孔明、お茶を置く。

孔明「よくわかりました。やはりこの国は変えなければならない」

                  ※

丘の上にたち、町を見渡す孔明とリサ。
あっちの銀行では強盗、こっちのスーパーでは万引き、メインストリートはぜんぶ
ポールダンスの店。

孔明「ごらんなさい、この町から平和と秩序がはじまるんですよ」
リサ「たしかにこの風景はよくないけど、ヨセミテ国立公園みたいなきれいな場所だって
だくさんあるんです」
孔明「しょせんはワシントンあたりの金持ちが避暑地にして、やはり害悪をまきちらしている」

羽扇をひとふりする。
孔明「私は予想していました。あと25秒で東から大風がふいて、あのパン屋がガスをしめ
忘れていたためにコンロが爆発を起こし、となりの店に引火してそこも爆発、
通り一体を爆発が連鎖して、やがて悪党どもは西の通りに逃げ込んできます」

リサ「ガスの閉め忘れまで予想できるの?」
孔明「自然とはそうしたものです」


茂みのなかでこれを聞いていたホーマー
「25秒か、今アメリカを救えるのはこのオレだけだ」

大急ぎで町にむかうホーマー。道端でポストマンをなぐりつけ、バイクを奪う。
郵便物のなかにはテロリストのものと思われる「グッドナイト」と書かれた
爆弾。

パン屋に窓わって突撃。
驚く店主にむかって「パンはかまどで焼け!」と怒鳴りつける。
腕時計ではあと10秒。
ガスの元栓をさがすホーマー。厨房は蛸足配線でごちゃごちゃ。

あと五秒。

ぜんぶの棚やテーブルを放り出し、やっと元栓を見つける。
残り一秒で栓を閉める。

ホーマー「やったぞ、アメリカの勝利だ」

だが近くの建物がやはりガス爆発する。

                     ※

リサ「違う建物が爆発したわ」
孔明「フフフ、自然とはときにランダムでフレキシブルです」

                     ※

通りにでたホーマー。連鎖爆発するストリートをみて愕然。
ホーマー「なんてこった」

大急ぎでまた郵便局のバイクにまたがる。爆弾は無情に時を刻む。
ホーマー「おいみんな逃げろ!この通りは爆発するぞ!」

町の人「どうすりゃいい?」
ホーマー「大事なものだけもって逃げろ」

町中の人手近なものをつかんで逃げる。ほとんどの人間がポイントカードと
携帯だけ握ってる。おばあちゃんは旦那の土地の権利書だけ。

ホーマー、無人になった町を見てハッとする。

そろ~っと無人のショーパブに入り、一人でシャンパンあけて、悦にひたる。

だがいつまでたっても裸のおねえちゃんが出てこないので、自分で
はだかになってひとしきり踊る。

そこでまたハッとして、家に逆戻り。


平和なシンプソン家。
そこにまたバイクで壁をつきやぶってホーマーやってくる。
ホーマー「大変だ!あの野郎が町をぶっこわしてる!お前らも逃げろ!」
バート「マジで?いかす!」
マージ「たいへん、あなたリサがいないのよ。あのこきっと彼と一緒だわ」

ホーマー、自分のベッドの下から、なにやらモニターを取り出す。
ホーマー「こんなこともあろうかと、こないだ発信機をあいつの首にインプラント
したんだ」
マージ「自分の娘を信用してないの?」
ホーマー「バカ言え、今じゃみんなやってることだ」

モニターに点滅。リサは町外れの丘の上にいる。
再びバイクにまたがるホーマー。爆弾は今にも爆発しそうだ。

                      ※

リサ「もうどうにもならないの?この国は地図から消えるべきなの?」
孔明「私のご主人さまは正義の人ですが、悲しいかな、敵におわれて国がありません。
私は彼の強大な敵と戦うため、この国をきれいにして彼にさしあげたいと思っている」

リサ「あなたの理想はすばらしいことだけど、私たちはどうしたらいいの?」
孔明「リサ、すべてのアメリカ人が君のように清らかで誠実であれば、わたしはこんな
ことはしなかっただろう」


そこへ爆音あげてホーマーが到着。
ホーマー「娘からその汚い手をどけろ!」
孔明「もう触ってしまった」
ホーマー「ちゃんとクリーニングして返せ!」

つかつかと歩み寄るホーマー。
ホーマー「お前の言うようにこの国は腐ってるかも知れない。だが子供を思う気持ちは
お前らの国以上にある」

孔明ハッとする。

ホーマー「いまだ!」

隙をみて背後から機関銃を取り出し、孔明にむかって発砲。しかし中華なべもった
リサにすべてはじかれる。

リサ「彼を殺さないで!」
ホーマー「どけ!そいつはアメリカの、ひいては自由を愛する人民すべての敵だ!」
リサ「彼は純粋なのよ、彼のご主人様のために住むところが欲しいだけ」

孔明「ちょっとまった。その郵便物のなかに私宛の手紙ははいっていないか?」
ホーマー「なんだと?」

ホーマー、郵便物のはいったカゴをかき回すと、やたら重そうなカチカチいう装置についた
手紙を取り出す。

ホーマー「これだな…うわっ爆弾だ!」
孔明「うむ、さがっていなさい」

孔明が天をにらむと、そこだけ雲ができて大雨。爆発物は残り数秒で動きを止める。

リサ「さすがにあれはトリックでしょ?」
孔明「いや、これも前からこの日この時間にきっちりこの場所に局地的ゲリラ豪雨が
降ることを予想していた」

ホーマー「オレは信じないぞ」

孔明「これはわが敵が、私を殺すために送ってきた爆弾だ。私がここにくることを予想
していたんだ」

ホーマー「なんでも予想できるんだな」

孔明「それが自然というものだ」


                       ※

夕日に包まれるシンプソン家。
玄関で孔明を見送る。

ホーマー「オレはあんたにいいたい」
孔明「はい」

ホーマー「確かに俺たちの国はおかしいところもある。だが俺たちは俺たちでこの国を
すばらしい国にしようとしてる。なぜかって?俺たちの国だからさ」
孔明「うむ」

ホーマー「だからあんたも人の国に手を出す前に、自分の国で居場所を探したらいい。
そうしたほうが、あんたの主人も喜ぶだろうぜ」
孔明「やはりあなたはただの変な親父ではなかった。これも予想していました」

リサ「いってしまうの?」
孔明「別れはさびしいものですが、帰って私の主人に伝えましょう。かの国にも
純粋な目をした少女がいることを」

去っていく孔明。なぜかここだけ悪路を走れるようバギーみたいな四輪車に乗ってる。

                       ※

また山火事。消防車に素っ裸の親子がつかまってる。
バート「またやるの?」
ホーマー「当たり前だ、こないだは半分しか焼いてないだろ」

現場に着くともう鎮火してる。

ホーマー、少し考えてから、現場にガソリンをまいて再び火をつける。

そくざにホースで火を消される。


★エンド★



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